予告してからもうずいぶんになってしまいましたが、去年秋に実施した「形状認識に関する調査」にかんする結果のご報告です。以下、大学の授業で提出した論文の主旨を要約したものになります。
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「人の形状認識を定式化する試み」
上の2つの図形を見てください。どちらが大きく見えるでしょうか?
個人差もありますが、たいていの人は五角形の方がわずかに大きく見えるでしょう。
高さがそろった星型と正五角形なら、正五角形の方が「大きく」見えます。
・・・では、「大きい」とはいったい何なのでしょうか。
人間の認識する「大きさ」が、図形のどの要素によって決定付けられているのかを明らかにするために実験を行いました。その概要は以下の通りです。ネット上で協力者を募り、以下のような作業を行ってもらいました。
(実験概要)
さまざまな図形4種類が、ばらばらの大きさで黒い円の周りに配置されている。(左図参照) 円を除く4つの図形の大きさは自由に変更できるようになっている。被験者には、4つの図形それぞれを「中央の円と同じ大きさだと感じられるサイズ」に変更してもらう。(右図参照) この作業を1人あたり4回(表示される図形は毎回異なる)行ってもらい、計16種類の図形についてのデータを集めた。
集まった1081人分のデータを集計し、平均を算出しました。これによって、「人間が認識するサイズ」に関する図形ごとの情報が得られたことになります。
各図形についてさまざまな計算を行い、この「認識サイズ」と相関があると思われる量があるかどうかを確かめました。すると、物理で使われる「回転半径」と呼ばれる概念が「認識サイズ」とかなり強い相関を持つことが分かりました。
回転半径についての詳細は割愛しますが、誤解を恐れずざっくりいうと「半径バージョンの重心」みたいなものです。物体の回転運動と関係があります。
物理で使われる概念と図形の「認識サイズ」との間に相関があることはなかなか興味深いです。これは物体の各点の回転運動の様子に対する寄与と、図形の各点の「認識サイズ」に対する寄与との間に類似性があるということを暗示しています。
この「回転半径」を柱として、更にいくつかの補正を加えることでより近似のよい「認識サイズ計算式」を得ることができるのではないかと予想されます。
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というわけで、皆さんのご協力のおかげでなかなか面白い論文を作ることができました。ありがとうございました。